看護の椅子
入院してみて……
吉村 公三郎
pp.13
発行日 1967年1月1日
Published Date 1967/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912990
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子供のじぶんはいたってひよわく,しょっちゅう胃腸をこわしたりしていたのが,17歳で中学を出て映画界に入ると,撮影所の生活が性にあっていたらしくて,めっきり丈夫になり,兵隊検査も甲種合格,予備役の将校として出征もした。20歳前後から,30年間ついぞ病気らしい病気をしたことがなかった。監督をやりはじめ体をうごかすことも少なくなっていろのに,走りまわっていたころの習慣の大食からぬけ切れず,そのため年毎に体重が増え88キロくらいまでなった。
肥満は多くの病気の原因になることはうすうす知っていたが,油断して大食をつづけていた。血圧も相当高かったらしい。成人病の年齢になっていることには気がつかず,その上,映画界の不況のしわよせで心身つかれることも多く,ついに3年前に卒中の発作をおこして倒れた。そして生まれてはじめて病院に入院した。一昨年の正月から春まで3か月の病院生活である。
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