症例研究へのアプローチ
方法を身につけ意欲的に/回数よりも完全な研究を
壁島 あや子
1
,
涌井 治子
2
1国立東京第一病院小児科
2日赤中央短期大学
pp.50-51
発行日 1966年4月1日
Published Date 1966/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912695
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あらゆる学問には,研究なくしての進歩,向上はあり得ない。まして,人の生命と直接とりくむ医学においては,日々が研究であるが,同じ医療チームの一員として重要な分野を占めている看護の研究はどうであろうか。
ことに最近における社会機構の複雑化に伴い,疾病が人間におよぼす影響も多様で,現在の医療は,ただ単に疾病のみをなおすのではなく,疾病をもっている人間を中心として考えるようになってきており,そこには,医師,看護婦を中心としたあらゆる部門の人たちの参加が必要で,なかでも看護部門の役割は大きく,そこには既成知識のみでは不十分であり高度な看護が要求される。すなわち看護学以外に社会学,心理学が存在しているところの総合看護の必要性が生じてくるわけで,そこには研究にもとずいたところの法則が裏づけになっていなければならない。看護が,学として体系づけられつつある現在,われわれの今しなければならないことは何といっても看護研究である。しかし,その研究が医学にくらべてそれほどされていないのはどういうわけでろうか。その理由はいろいろあると私は思うが,やはり現実の問題として私はナースがあまりにも時間的余裕がなさすぎるのではないかと思う。病院によっては多少異るとしても深刻な人手不足や繁雑な業務からくる身体的疲労など。そのなかで若い有能な看護婦もついには研究をする意欲を失ってしまうおそれがありはしないだろうか。
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