発行日 1953年11月15日
Published Date 1953/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912514
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序に代えて
—Nurseの一般教養について—
近代的職業の一つである看護及び保健事業はその職業につくためには高度な專門的知識と職業的訓練を必要とすることは云うまでもない。然し看護,保健事業は唯技術のみで成立つものではない。それを成り立たせるためには他に多くの条件を必要とする。例えば法令や行政や施設がとゝのわなければならない。その上でそれらの基本条件の上に立つて看護婦や保健婦が立派な專門家でなければならないのである。而も尚彼女等の対象が生きた人間であり疾病,傷害に苦悩する社会的弱者であるからは常にこれらの人々のよき友,信頼される温かい愛の人でなければならない。
それらの要素は結局人格というものに要約できるのであそが,その人格は專門的,技術的なもののみによつて成り立つものではない。否むしろ他の多くの教養知識によつて先天的素質を包つむ後天的な心的特性が生れるのであつて,その一般教養をもつか持たぬかが温かい円満な人格を決定するものなのである。一般教養とは云うまでもなく広く社会的な知識と経験,更には趣味,娯楽をも含めたものである。従つて日常の起居動作から一切の生活の体験もすべて一般教養をうる機会とならざるはない。本書はかかる意味の一般教養を前提としてそれらの諸々の知識や経験の中で特にNurseに欠けていると見られる社会及び労働関係の知識を簡便にあたえることを目的として編集したものである。
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