発行日 1950年3月15日
Published Date 1950/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906618
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Ⅰなによりも教養のないことをおそれなくてはならない
教養・教養というひとは多いが,そうくりかえしているだけで,具體的にどこから手をつけてゆくかということになると,口先だけのはなしの多いものである。殊に,雜用に追われている私たち女性にとつて,教養は緑の遠いはなしとなりがちである。しかし,人間が教養を持たないということは,人間が本能で暮らすことになるのであつて,それなら私たちは表面は人間であつても内容は動物と同じことである。
恥しいとかみつともないとかいうことを人間が恐れるのなら,なによりも教養のないことをおそれなくてはならないとおもう。ところが,自分のスカートの格恰が少し流行おくれだというようなことはひどく氣にする若いひとが,自分が教養をもたないというようなことについては少しもおそれず,何食わぬ顔をしている。
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