この人と30分
人間のための看護を—「生体実験」を書いた清水昭美さん
いぬい なりお
pp.66-67
発行日 1964年9月1日
Published Date 1964/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912369
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ひとりの小児科看護婦の手記が,いま大きな反響を呼びおこし,おおげさにいえば,“医療のあり方”の議論を国民の間にまきおこそうとしている。その手記は『生体実験」(三一書房・230円)。その事件が,かつて神戸医科大学において行なわれた臨床実験成績であり,乳幼児栄養の重要な発表として,昭和33年の日本小児科学会の輝かしい研究であっただけに,世間に投げかけた衝撃と波紋も,それだけ激しく大きかったといえよう。
ストーリーをかいつまんでいえば“大学病院”の看護婦であったために,心ならずも未熟児の生体実験に協力させられ,その苦しみに耐えかねて病院を飛び出した著者が,この“生き地獄”のありさまを世間に訴えようと綴った手記といえよう。
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