医療の焦点
家庭医はどこへいく?
水野 肇
pp.88-89
発行日 1964年5月1日
Published Date 1964/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912254
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ある地方都市での話である。大病院といわれるA病院がベッドをふやそうとしたところ,地元の医師会に猛反対された。これだけのことなら,どこの県でもおきる医療界の年中行事のようなものだが,この“増床事件”はちょっとちがっていた。というのは,じつは地元の婦人会では,増床してもらう方を支持したというのだ。ハデにタスキ掛けでデモッたというのではないが,主婦たちの意見としては,開業医より,病院にいく方がいいと考えたのである。こういった主婦の考え方にも問題があるが,つくづくと「家庭医のあり方」を考えさせられるケースのように思えた。厚生省はベッドの適正基準によって,増床を決めるという方針を打ちだしている。それもいいが,その前に家庭医の本質的なあり方を考える方が先決ではないかと思う……。
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