特集 進歩した“眼科”のすべて
眼科診療の進歩
加藤 格
1
1関東逓信病院眼科
pp.36-39
発行日 1963年11月1日
Published Date 1963/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912060
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はじめに
この数年の間に,宇宙旅行の実現や原子力潜水艦の出現など自然科学は,驚異的な進歩をいたしました。眼科関係の領域では世間をアットいわせたはでな話題は一つもありませんでしたが,そのかわりに,地味で確実な研究業績がつみ重なって日常の診療態勢がだいぶん変わってきました。たとえば,電子顕微鏡や筋霞図)EMG),網膜電図(ERG)などは,すでに基礎的な研究から日常の臨床に実際使われていますし,アイソトープは,腫瘍や翼状片の手術後にどんどん使われています。また弱視の診断や治療についての研究もおおいに進み,大学病院では小規模ながら一般の眼科のクリニックからわかれた弱視クリニックといったものが発足しています。ひとくちに十年一昔といいますが,医学の世界では数年前の知識だけでは満足な診療はできません。
そこで,ここ数年,とくに昨年あたりから新しく使われはじめた診療器具や治療薬,変わってきた手術の方法などについてのべてみましょう。ただ弱視のことは,別に東大の山本先生がくわしく解説されますので一切はぶきます。
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