新連載講座 看護計画
患者中心の看護のために
早川 かつ
1
,
桑原 富士子
1
,
田川 朋子
1
,
酒見 邦子
1
,
上田 敦子
1
,
道村 政枝
1
1大阪赤十字病院看護部
pp.29-34
発行日 1966年4月1日
Published Date 1966/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912690
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I.現代の看護
ここ数年来,我が国でも,看護はすべての患者に総合看護ケアーを与えなければならないことを強調している。この考え方に伴って,患者中心の看護あるいは個別化患者ケアーというものが打出されてきている。このような看護を行うには,患者の徴候,症状をよく理解し,建設的で科学的な対策をもつて,看護上の問題の解決をはかるという方法が要求されるのである。総合看護ケアーを成功させるにはまずナースが,患者のニードを正確に把握する能力を持たなければならない。看護ケアーの対象となる患者のニードが適切に満たされているならば,専門職ナースは,医師の指示をもっと簡単に受け入れられるであろうし,処置や与薬の管理もよくできるであろうし,また患者のニードを評価しそして簡明に系統立てた看護計画がたてられるにちがいない。このような看護計画は,観察力,科学的知識,臨床経験,個人として患者をみることのできる能力を持ったナースの判断力の結果生れるものである。
30年前では,看護は患者の看侍であり,また医療の補助が中心であったが,現代では,看護は人々の保健上の必要条件を満たすにあたっての活動的,治療的および教育的な成果をもたらす過程ということになってきた。そしてナースは人々の操縦者というよりもむしろ援助者であり,それは人々のニードに応じる適切な状況を用いて,個人や社会を援助することを探求するものである。
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