Nursing Study
新しい看護体制としての分娩監視室制
松沢 千恵
1
1新宿赤十字産院
pp.53-56
発行日 1962年9月15日
Published Date 1962/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911727
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はじめに
従来,分娩の監視に際しては,病院,医院を問わず,医師または助産婦がトラウベによって間歇的に胎児心音聴取を行ない,そのつど,心音の整不整,心搏数および陣痛状態を記録していたのでありますが,病院ことに産院などにおいては,短時間内に多数の産婦を取り扱わねばならない場合がしばしばあり,そのような場合,分娩介助や児および胎盤の計測,沐浴などに追われて他の分娩監視が疎かになり,胎児心音の異常発見が遅れ不幸な機転をとることも少なくないと思います。
私たちの産院においては年間約3000例以上の分娩を取り扱っているのでありますが,それに対する分娩室勤務状況は従来までは,係長(日勤)以外に助産婦2名あて1日3交替制を実施してきたのでありますが,分娩の多い時間にはやっぱり完全な分娩監視ができない場合が多く,またそのような時に限っていつのまにか胎児が子宮内で死亡していたり,切迫仮死を知らずにいて慌てて鉤子手術をして,第二度仮死で産ませるといったケースがあったのでありますが,このようなケースはどこの病院でも多分あることでしょうが,勤務員不足による不可抗力として簡単に片づけられないところに,私たち医療従事者としての研究の余地があるように思われます。
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