特集 整形外科看護の諸問題
松葉杖の選び方と使い方
徳永 悦子
1
1厚生年金病院整形外科
pp.26-27
発行日 1962年5月15日
Published Date 1962/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911621
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松葉杖歩行は独歩訓練の過程として,ある期間行うもので最終の目的としては松葉杖を不要とする方向に訓練するものですが,下肢の機能障害が高度な場合は支持性を与える意味で補装具をつけ,終生松葉杖を手離すことができない場合もあります。しかし松葉杖歩行の技術を完全に習得する事により,ベット,車椅子,洋式トイレット等より松葉杖歩行に移る動作を容易にし,砂利道や凸凹道,斜面等を歩行したり,水溜りを飛びこえたり,交通信号に従つて交叉点や横断歩道を渡ったり,乗物への降乗車を容易にする事ができ,将来はこれ等が一本杖でなされるようにまで努力すべきだと思います。
松葉杖歩行の練習を開始する迄には,機能訓練によって下肢の麻痺を最大限に回復させると共に,上半身や上肢が自分の身体を支える事ができるように訓練を行う必要があります。その上,平行棒等で起立位でのバランスをとる事を習得させなければなりません。身体のバランスが満足にとれるようになったら初めて松葉杖歩行に入る時期が来たといえますが,この場合にも歩行にはいろいろな種類があるので患者の環境や身体の調子によって考えた上,少くとも二種類以上の歩行法を習得させる必要があります。
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