扉
5月12日
pp.1
発行日 1960年5月15日
Published Date 1960/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911087
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5月という月は,1年の中でも,最もさわやかで,晴々とした緑の若葉に自分の希望をたくすような,快い時候ですが,一方,私共ナースにとつては又,忘れることのない日,5月12日を含んでいるのです。この記念日を迎えて,看護の先駆者,開拓者,フローレンス・ナイチンゲール女史を,その有名な書翰を通してしのんでみることも意義があるのではないでしようか。
私共ナースが行う看護法に,日々進歩の跡をみせていない限り,私共が退歩しているのだとしたら,その行いを日々改良していかない限り,それはおどろく程退歩していることだと思わねばなりません。これは勿論,世間一般の婦人にあてはまることですが,特にナースにはあたつています。何故といえば,教職の他に,この職業ほどその成功が人格によることの多大なものはないからであります。善いナースとなるためには,まず善い婦人でならねばなりません。人間ができていなかつたら,美しい音色を出すはづの鐘も,土臼を打つている音のようなひびきしか出さないでしよう。そして少しでも善い人間になろうと思つたら,日々に進んでゆく者でなければなりません。よどんだ水や,沈滞した空気は,くさつて役にたたなくなるからです。
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