講座
脳手術の適応
佐藤 公典
1
1日本大学医学部第一外科
pp.22-25
発行日 1960年5月15日
Published Date 1960/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911090
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メスをいれることが不可能と考えられていた脳の手術が可能になつた。これは確に近代医学にエポツクを画することである。とはいえ,脳外科はむずかしい手術であることは事実である。手技のみではない,術前の準備,無菌法の処置,また術後の看護等学ぶべき問題は数多くある。
脳の機能については3000年以前のエジプトの文献に,脳が四肢の運動を支配しその支配は左右交叉性であるということが見出され,また,脳の手術については西暦前約400年前のギリシヤ交化のなかに見出されており,Hippokratesは頭蓋骨骨折のみならずテンカン,盲などの手術を行つている。しかしながら,かかる古代さらにくだつてほぼ19世紀にいたるまでの脳外科はほとんど単に頭蓋骨を開けるということにとどまつており,従つて頭蓋骨陥没骨折,頭蓋内血腫あるいは膿瘍の除去などの限られた手術のみが可能であつた。それはいうまでもなく脳の病変の診断がむづかしいことや,手術時の出血,麻酔,感染などの多くの問題があつたからである。
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