講座
変形性脊椎症とその治療
浅野 昌男
1
1九州厚生年金病院整形外科
pp.27-30
発行日 1960年4月15日
Published Date 1960/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911074
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医学は進歩している。その恩恵のおよばぬところは極く狭い部分となつた。しかしなお日蔭の場所のあることは事実である。変形性脊椎症も,こうした疾患の一つである。比較的症例は少いが,一度発病すると働き盛りの人がみすみす病状が悪化してしまう。現在最も積極的な治療法は手術だけなのである。いうまでもなくこうした疾患では特に看護の重要さが強調されるのである。
脊や腰が曲り杖をついた老人の脊柱はその大部分が高度の変形性脊椎症の姿である。この様に人の脊椎にはいつかは生理的とも云うべき老化現象としての変形がおきてくる。しかし老化現象としての変形はその進行も極めて緩徐であり,広範性であるために,老人らしい生活環境にある限り特に治療を要するほどの障害を訴えてくるものは少い。従つて患者として治療の対象になる変形性脊椎症の大部分は,生理年齢に比較して脊椎変形の著しいものであり,多くの場合頸椎腰椎の2,3コの椎体に限局してくるものである。
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