助産婦学校を志す人達のために
助産婦を志して
宇津木 孝子
1
1武蔵野赤十字助産婦学校
pp.60-61
発行日 1960年1月15日
Published Date 1960/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911023
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長いと思つた看護学院も卒業して見ると何か空虚な…そんな時期を経過してやつとファイトらしいものをつかんだのは12月頃だつたろうか。私の経験した実務1年はそんなわけで,はつきりこれと言い得るものがなかつた。しかし「看護を通して私にも何か出来そうだ」と言う気持はたしかに強くなつた。そして母の職業即ち助産婦がいつか私の理想とする職業となつて行つた。それは私の生家都下西多摩の奥では時には「産婆さん」と呼ばれながら働く助産婦が何か泥臭いが生き生きと夢と希望に満ちみちて,活動しているように思えて来たからだ。現在助産婦の平均年齢が50歳余と聞いては私共20代の者とは親子程の差がある。この道に枯野を思わせる時が訪れるのではないか,そんな不安を持つのは私のみでは無いと思う。これ等の事を考え真の助産婦の姿が充分に認められていない現実の表面のみを見て,助産婦を志す多くの姉妹方のあまりに将来の事に固執しすぎて尻込みする向きのある様子を見受ける。がしかし今母親にならんとしている多くの同性にとつては必要欠くべからざる相談相手,協力者,理解者として求められ,待たれているこの助産婦の仕事に対してどうして尻込みできましようか。
私は現在誇りと喜びに満ち助産婦の卵として学びつつある。その一端を述べてみたいと思う。
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