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ナイチンゲール誓詞私解〔その4〕
日比野 路子
pp.68-70
発行日 1956年6月15日
Published Date 1956/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911005
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われは我が力の限り我が任務の標準を高くせん富を努むべし。
この前までは,いわば消極的な面の決意をあらわしていたが,こゝで始めて積極的な決意をしめしている。訳語の適否は別として,この言葉の意味は理解に困難ではない。しかしこれらの言葉も深く考えれば,私共の日々の仕事の上にいろいろな反省をもたらす。
まず「我が任務の標準」とは何であろうか。「任務」は原語によれば“Profession”即ち「職業」であり,特にこの言葉は「もとは学問的素養を要する業務にのみいつた」とある程で「專門職業」といつてもよい。従つて,それは内面的には看護精神,知識,技術等を意味し,外面的にはそれらに携わる看護婦の地位,待遇,職場等,を含むといつてもよい。換言すれば個人としての看護婦自身が充実した力を持つて,その職業の地位を高くする事を意味すると共に,看護という業務自体が,社会的に認識され,高く評価される事を,意味する。
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