——
水の科学
山田 文子
1
1医学書院編集部
pp.61-64
発行日 1959年10月15日
Published Date 1959/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910948
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
水—大空から降りそそぐ雨,とうとうと流れる川,広々とした海,そして木の葉からころげ落ちる露の玉,考えてみると水は私達のまわりにあるいろいろな物質のうちで,何と大きな割合をしめていることであろう。水は固体,液体,気体の三つの物理的状態のもとに,地球の表面が固まつて以来このかた,地球の表面で非常に重要な役割を果してきている。即ち,水は地球の表面にけわしい山や深い谷を作り,地方地方の気候の性質を決定し,緑野を作り,人間の住む都会や村の位置迄決定するのである。実際に地球の表をつつむ物質の中でも,最も量の多いのは水であるし,動物体はもとより空気の中迄も水は含まれている。
又,生物体において,水は特に重要な液体であつて,その組織の中にはしばしば80%以上も含まれており,物質を溶かしたり,イオン化したりする水の性質は,生物体の中でおこる反応を非常にスムースにさせるので,いわば生物の生命の根元の一つと云えよう。
Copyright © 1959, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.