基礎実習講座
肉水ブイヨン,肉水寒天の作り方
跡部 ヒサエ
1
1東京大学農学部畜産獣医学科
pp.1073-1076
発行日 1985年12月1日
Published Date 1985/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203530
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微生物学の基本的な二つの操作である分離(単離)と増殖は,人工的な環境下すなわち培地を用いた培養という操作により得られる.したがって培地は,微生物を取り扱うものにとって欠くことのできない重要な道具である.細菌の培養技術の進歩によって,現在は多数の種類の乾燥培地(粉末培地)あるいは生培地が開発されており,初心者であっても培地の作製で失敗することは少なくなった.それはたいへん好ましいことであるが,反面,培地の基礎知識や性能を理解する努力が欠けてくることにもなりかねない.
さて,本題の「肉水ブイヨンと肉水寒天の作り方」という課題であるが,この古典的な培地は,生肉からのエキス抽出に長時間を要し,手技の煩雑のために,今日ではおそらく特殊な研究室を除いては作られることがないと思われる.しかし,各々素材を組み合わせて作る本培地は,培地の構成と知識を理解する基本となるものであるから,学生時代の復習のつもりでしばらくお付き合いいただきたい.
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