Nursing Study
脊髄灰白質炎患者の回復期初期の運動介助について
平尾 きよみ
1
1国立大阪病院
pp.13-16
発行日 1959年6月15日
Published Date 1959/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910863
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1.とりあげた理由
脊髄灰白質炎,いわゆる小児麻痺といわれるこの疾患は伝染病でありますが,日本では,米国の様に多数の流行をみる事は殆んどなく,散発性に出現いたします。しかし,数少い病気とは云え“小児麻痺を患つたのだ”と云えば関係のない他人でも,その子供と親の悲歎と永い人生に於いてその不具を克服しなければならない前途を思つて同情の涙をそそぐことでありましよう。
この疾患の急性期,即ち恐ろしい麻痺をもたらす期間はごく短く,1週間から10日位であります。この間治療と看護に細心の注意がはらわれるのは当然のことですが,その後に来る回復期は,実に1年以上の月日を要します。簡単に1年と申しますが,身体の不自由さに耐えながら毎日の治療を受ける努力は,この疾患が小児に多いものであるだけに,患者は勿論のこと,親兄弟共々に物心両面の非常な忍耐を要する歳月であります。患者が将来完全に近い体で生活出来る様回復期全期を通じての忍耐と積極性,そして希望を完全に与える責任が看護婦にあると信じ,私達の病棟で行つた初期の訓練の状態を紹介して,永い回復期に於いて看護婦が初期と云う時期こそ,この患者の将来の幸福へつながる事を認識したいと思い,発表することに致しました。
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