連載 人間関係論 より豊かな共生を・9(最終回)
看護者―病者の人間関係
服部 祥子
1
1大阪人間科学大学精神科
pp.310-313
発行日 2002年4月25日
Published Date 2002/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903189
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病者とは誰か―正常・異常にとらわれることなく
病者とは病気の人のこと.では病気とは何か.広辞苑1)によれば,病気とは「生物の全身または一部分に生理状態の異常を示し,正常の機能を営めず,また諸種の苦痛を訴える現象」とある.なかなか上手な表現だが,ここで注意せねばならないのは,正常と異常ということについての考え方である.
正常とか異常というのは,ある一定の条件の下にある集団の中での統計的平均値を基準として判断を下すもので,大多数が示す範囲を正常,それをはずれる少数派を異常とみなすのである.たとえば日常生活においても,大方の趨勢からはずれると,異常気象,異常株価,異常な現象等としばしば用いられる.ものごとの判断の1つの尺度や目安として,便利で効果的なものなのであろう.
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