新看護学
腎臓病の看護
永井 敏枝
1
1東京鉄道病院看護婦養成所
pp.69-74
発行日 1958年6月15日
Published Date 1958/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910634
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腎臓の病気とは腎臓の機能が障害されていることであり,そのどこがどのように疾されるものであるかということは阿部先生の病態生理で理解できたと思います。そこで看護の面について考えてみます時,まずそのどこが,どの程度,どんなようにおかされているのであるかという診断を医師が下す場合,その情報を提供する任務は看護婦の重大な使命であるわけです。正しい診断がなされてはじめて治療方針の決定がなされ,また看護の方針も実際の看護もなされるわけです。またこれは初期の診断のためのみでなく,その病気のうつりかわり,特に腎臓の単位であるネフロンの構造をみます時,例えば初期には糸球体の血管が緊縮し,糸球体の乏血,細胞増殖のある糸球体腎炎であつても,糸球体血管のつゞきも尿細管をも養つているということからみて,尿細管に対する血液供給も不足し,その細胞の退行変性をも起すということもあり,また治癒しつゝある過程もあるわけであり,これらの推移も腎臓機能をよく理解し,更に正しい観察によりその現われる症状を敏感につかむことによつて推察することもできるわけです。そこでまず第1にあげることは正しい観察ということであります。すなわちどんなことをどのような注意をもつて,観察したらいゝかを考える時主なこととして次のことをあげてみます。
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