日本人の病気
腎臓病
木下 康民
1
,
宮川 隆
1
,
平沢 由平
2
1新大第2内科
2信楽園病院
pp.1078-1079
発行日 1971年6月10日
Published Date 1971/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203722
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正確な把握がむずかしい現状
腎疾患の罹患率,死亡率に関する従来の統計は正確さに欠く点があると考えられる.たとえば腎炎では,きわめて軽微な糸球体腎炎は容易に見逃がされうるし,また成人の腎炎にはなんらかの機会に偶然蛋白尿が発見され腎炎罹患時期の明らかでないものがはなはだ多いこと,死亡統計についてみれば腎炎の生前診断がたとえば腎血管硬化症などとの鑑別で必ずしも容易でないため,死因が脳血管障害とか心不全の中に入ってくる可能性がある.このような疾患の性格上の問題から罹患率が捕えにくかったり,死亡率の不正確さのために,腎疾患の疫学の重要性は従来から十分認識されながら,未だ確立されていないのが現状である.このような状況の下でしか把握できない現在,腎疾患の疫学を述べることは不本意であるが,入手しうる資料に基づいて,主として腎炎の一面について考察してみたい.
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