Nursing Study・32
肺切除手術直後の容態観察—特にシヨツク症状の発見に就いて
伊藤 藤江
1
,
渡壁 タマ代
1
,
島村 とみ
1
,
川本 よしの
1
,
菊地 喜江子
1
,
望月 孝子
1
,
牧 秀子
1
,
高田 嘉子
1
,
松館 ちよ
1
,
木島 澄子
1
,
北尾 勤
1
1国立中野療養所
pp.14-18
発行日 1958年6月15日
Published Date 1958/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910616
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緒言
肺切除手術直後におこりうる急性危険症として,看護上特に注意を要するものは,いわゆるシヨツク状態である。この臨床上シヨツク状態とよばれるものは,顔色蒼白,冷汗,微弱な頻脈,浅い呼吸等の症状であるが,生理的には急激な手術侵襲に対する生体平衡への復帰への努力とみなされている。シヨツクには発生上から外傷,疼痛,驚怖,その他の精神的感動によつて誘発される。1)第1次シヨツクまたは原発性シヨツク,2)血液,又は血漿の損失による出血性のシヨツク1),すなわち第2次シヨツクまたは続発性シヨツクとよばれるものもある,3)その他脱水症その他の病症により水と共に多量の電解質が失われることにもよつておこることもあるといわれている。私達の対照となつたシヨツク例は,全例2)の続発性シヨツクといわれるものであつた。
手術室より帰舎した患者の看護を行うのにあたつて,異状所見があまり明らかでなく,異状所見であるか,どうか,迷う場合また医師に報告を行つても,その症状が何等危険な症状でない場合,反対に患者の状態が意外に悪い状態にあるもしれない等枕頭看護の責任と困難さを痛感する。
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