講座
神経痛の話
高橋 晄正
1
1東京大学物療内科
pp.23-30
発行日 1957年12月15日
Published Date 1957/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910494
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「神経痛ですな」と医者も患者もかんたんにいいますけれども,神経痛という病気にはそうかんたんに片付けられない難しい問題がたくさんあるのです。腕の神経痛が頸髄腫瘍や第1肋骨の転移癌のためのものであつたり,肋間神経痛が脊椎カリエスや肺癌のためのものであつたり,坐骨神経痛が椎間板ヘルニヤや子宮癌の脊椎転移のためのものであつたり.この1年間に私たちが病室でとり扱つたものの中からすぐ億い出せるものだけでもこれだけあります。神経痛の全部が全部こんな恐しいものばかりではありませんが,一番かるい神経痛でも「お前のからだや生活には無理があるぞ」という警告でありますから,これをきつかけに医者の診察も受け,自分でも反省してみる必要がありましよう。
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