医学の話題
インフルエンザ,他
O
pp.60-61
発行日 1957年11月15日
Published Date 1957/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910484
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今年の春先きに悪性のインフルエンザが世を風麾して遠くヨーロツパやアメリカの方迄その猛威の一端を示して,子を持つ観や先生方を怖がらせたり,新聞種を充分に提供したりしたが,その後,夏の雲がもくもくと青空にそびえ立つようになると,みんな海水浴や山登りに夢中になつてそんな陰気な事は忘れてしまつた。しかし忘れるどころか,引続きあわてているのは厚生省である。というのは過去の統計によるとこの種の,世界を股にかける程の大流行性の病気は,たとえ一時的に勢力が弱つたとしても,全人口の60%以上が免疫になる迄,鳴りをしずめないのが常だからである。厚生省によれば今年の5月には日本の人口の20%がインフルエンザにかかり,東京だけを見ると都民の40%が猛威に屈した事になつているが,流感側としては,まだ当分,人間をやつつけないことには溜飲が下らないという事になる。そこで同省は今せつせと免疫ワクチンの大量生産をすすめたり,東京やその他の大都市に「流感センター」を作る計画をしたりしているという訳である。
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