アメリカ最近醫學の覺書き
アメリカの新しいインフルエンザワクチンの使用法,他
pp.28-36
発行日 1948年2月15日
Published Date 1948/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906286
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最近ニユージヤーシー州のアトランチツク市で開かれたアメリカ公衆衞生協會の第75囘年次總會において,インフルエンザビールスワクチンの少量によつて,ワクチン接種のさい普通おこる發熱反應をおこさずに,免疫を得る新しい方法の進歩について述べられた。この方法では普通の用量の4分の1乃至2分の1の量のみで充分である。公衆衞生のミシガン大學の疫學の助教授であるジョオナス・E・ザーク博士はこの方法の報告のなかで,これまではワクチン接種につゞいておこる感冒樣の症状は,病氣にたいする免疫の發生に必要な一過程であるように信ぜられていたと云つている。そしてザーク博士はこれらの反應をなくし,尚ワクチンの免疫效果を保たせようと試みたのである。最初彼はこれをワクチン中のビールスの濃度を高めて,ビールス以外の要素を除ひて達成しようとした。
ザーク博士は高速の遠心沈澱を利用して,從來得られていたよりもずつと高濃度にビールスを含んでいるワクチンを製造したのである。しかしこれらのワクチンも注射後1日間くらい發熱と毒性反應をひきおこすのが見られた。そこで彼はこれ等の反應はビールス以外の要素によりおこされるものではなくてビールス自身,即ちワクチンの缺くべからざる部分によるものであると決定した。
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