保険の話
保険医療の担当者
YN
1
1厚生省
pp.105
発行日 1957年10月15日
Published Date 1957/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910449
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従来,保険医療の担当者は保険医及び保険薬剤師個人であつたが,今春法律が改正されて,病院や診療所自体を「保険医療機関」即ち保険医療の担当者として指定し,そこで働く医師は保険医として登録したのち患者の診療に当ることとなつた。薬剤の給付についても同様で,保険薬局を指定し保険薬剤師を登録することになつた。
今日行われている医療の実態は,医師だけで患者の医療の全部を行うのではなく,他にも多くの医療従事者が関与している。殊に,入院患者の場合には,医師は診察や治療を,看護婦は看護を,薬剤師は調剤を,栄養士は給食業務を夫々担当している。またこの様な医療に要した費用の請求は医事係等によつて処理されている。この様に医師を中心に多くの医療従事者が一体となつて患者に医療を担当している現状なので,保険医療においても,その責任を1人の医師に帰する従来の保険医制度では不適当であるので,今回医療機関としての病院或は診療所自体を保険医療の担当者とすることとなつた。即ち,従来は患者から一部担当金を徴収したり,証明書を発行したりする窓口事務も完全看護や完全給食に関する業務も保険医の責任において行われていたのであるが,今後は保険医療機関自体が責任を負うこととなり,保険医は直接的な責任を負わない事になつた。
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