特集 病院給食管理の諸問題
病院栄養士の声
調理担当者に対する提案
鈴木 サナヘ
1
1川口工業病院
pp.54
発行日 1962年9月1日
Published Date 1962/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201978
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- 文献概要
給食の調理を担当する方がたへの提案とひと口に申しましても,私自身7年間栄養行政にたずさわったのちに勉強のつもりである大学病院に飛び込み,一調理員として器具の下洗い,野菜の下拵えの第一歩からはじめましたために,種々の不合理,隘路も体験いたしますと同時に得がたいかずかずの勉強もさせていただきました。それだけに,同様の経験をしておいでの皆さまがたに限られた紙数で提案などと書くのはいささかおもはゆいのでありますが,その時代に感じましたこと,そして現在150床あまりの病院栄養士としてなおかわらずねがいたい二,三のことがらを申し上げたいと思います。
申すまでもなく,栄養士が病院給食の献立を作成しますに,種々の拘束,すなわち経費,栄養,患者の病状や地域社会による特殊性および季節感,それに加えて施設の完備程度のいかん,調理員の労働力とその技術の度合やその他のもろもろを土台にしてできあがる料理を頭に描き,夢を托しながら,苦心惨胆するのであります。そうして作成された献立がたとえ諸条件に最適100%のものであったとしても,まだ目的は果たされていないのであって,これから先は全く調理を担当なさる皆さまがたの双肩にかかってくるのでありまして,100%の献立が100%調理され,患者さんに喜んで喫食していただいてはじめて初志の目的は達成されるのであります。
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