随筆
フアンの心理
畔柳 二美
pp.161-164
発行日 1957年4月15日
Published Date 1957/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910328
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
先日,流行歌手の美空ひばりさんが,ある若い女性に塩酸かなにかをかけられた事件があつた。どういう心理でしたのかわからないが,とにかく,大へん熱心なフアンだつたと新聞は報じている。かわいさあまつて,憎さが百倍,などという言葉があるけれど,あるいは,そういう状態であつたのかもしれない。しかし,これは,愛人とか,恋人に対しての心もちならばわかるような気がするけれど,どうも,その辺のことがわたしには今でもわからないのだ。
と,いうわけは,わたしも若いころは,やはり映画などたいへん好きで,女優さんに好きな人がたくさんいた。栗島すみ子とか,五月信子とか,また,新劇では及川道子などという人も好きで,プロマイドを集めたりしたことがあつた。
Copyright © 1957, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.