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職種や資格の説明
公認心理師は, 2015年に成立した公認心理師法に基づく国家資格である.2019年から公認心理師登録が開始され,日本心理研修センター 3)によると,2024年3月末現在で,71,821名が登録している.公認心理師の活動は,保健医療,福祉,教育,司法・犯罪, 産業・労働等, 多様な分野で行われている.日本心理研修センター 4)の調査によると, 調査回答者(n=38,827)のうち, 保健医療分野が30.2%,福祉分野が29.5%,教育分野が34.2%となっていた.
このように公認心理師は,保健医療分野にとどまらない多様な分野で活動する専門職である.公認心理師は,心理学を専門性として有し,心理的アセスメント,心理支援,関係者への支援,心の健康教育・啓発を業務として行う.心理学,特に臨床心理学を,臨床実践の基盤とするが,要支援者にとって有益なものとなるように,さまざまな領域の知見も取り入れながら,支援を行うことも特徴としている.
ところで,公認心理師の国家資格が創設される以前は,臨床心理士の有資格者が,保健医療分野での臨床実践を担っていた.臨床心理士は,公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する資格で,1988年から認定が始まり,2023年度で40,749名が資格取得している 7).臨床心理士は, 臨床心理査定,臨床心理面接,臨床心理的地域援助,調査・研究の4つを専門業務としている.臨床心理士の主に勤務している領域は,病院・診療所が35.7%,スクールカウンセラー等が19.8%,児童福祉施設・機関が13.2%,専門学校・短大・大学等(主に教育研究)が10.7%,専門学校・短大・大学等(主に相談業務)が10.5%となっていた 6).
公認心理師は,臨床心理士等の実績に基づいてつくられた資格であるが,保健医療分野では特に,心理的アセスメント,心理支援,多職種連携,心の健康教育等,臨床心理士の活動が,そのまま行われている状況である.これは,リハビリテーション領域においても同様である.たとえば,高次脳機能障害者の支援等について,リハビリテーション心理職会が活動を続けている 8).なお,診療報酬上は,平成31年3月31日時点で,臨床心理技術者として保健医療機関に従事していた者や,公認心理師に係る国家試験の受験資格を有する者を,公認心理師とみなすという通知がある.
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