講座
最近の結核治療
鈴木 晃
pp.28-30
発行日 1957年2月15日
Published Date 1957/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910281
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結核を薬で治すことは,昔から医学者の夢であつた。古来多くの人によつて数え切れない程の薬が作られ,多くの期待がかけられながら,何時の間にか姿を消して行くものが多かつた。しかしその間,結核に対する戦いは休みなく続けられた。1935年にはドマツクが,ズルフオンアミドを合成し,化膿性疾患に対する著効を見出し,1929年にはフレーミングがペニシリンを抽出して,化学療法剤のための新しい道を発見した。しかし結核に効くという薬は,なかなか発見されなかつた。1944年アメリカのワツクスマンがストレプトマイシンを発見し,長い間の結核学者の夢が実現され,人類に無限の幸をもたらした。1946年には,レーマンによつてパスが発見され,また同じ年にドマツクによつてチビオンが合成され,1952年には,ヒドラヂツトが作られた。これらの使用法について,種々研究が積まれ,また,併用することにより効果も著しいことが分り結核の治療について新しい時代を迎えるに至つた。このような治療方法の進歩は,当然社会保険の医療給付に大きな影響を与えた。
社会保険における治療方針は,厚生大臣が社会保険医療協議会に諮つて決めた療養担当規程の中に定められているが,昭和26年4月1日に新しい結核治療を盛りこんで,結核治療指針第1号が作られた。
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