2頁の知識
医藥分業の話
中村 一成
pp.44-45
発行日 1955年12月15日
Published Date 1955/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909997
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明年の4月1日から,いわゆる医藥分業に関する法律が施行になります。医藥分業について,ここ数年間いろいろ政治的な問題となつていたことは御承知でしようが,明年からは一体どんなことになるのか諸姉も知つておられる必要がありますので,具体的に法律の内容を中心として述べてみましよう。
ところでそもそも医藥分業とは何ぞやというところから始めましよう。医藥分業とは患者に藥を差し上げるという仕事について医師と藥剤師が分業して協力することであります。つまり患者を診察し,処置を施し,若しも投藥が必要であると認めた場合は処方箋を書いて患者に渡す—これが医師の任務。患者は,その処方箋を藥局にもつて行つて藥剤師に調剤してもらう。この調剤は藥剤師しか出来ないこととする。これが完全なる形の医藥分業でありまして,欧米諸国では慣行として制度をつくり上げています(別に法律がある訳ではありません)。我国におきましても,病院におきましては医藥分業制であることは諸姉の御気付のとおりです。処方箋は,いわゆる院内処方で病院内の藥局でしか使えないものでありましても,医師が調剤をせず,藥剤師のみが調剤する点は医藥分業です。(明年の4月からは,入院患者の処方箋はいま迄通りでよいのですが,外来患者は病院の藥局以外の町の藥局に調剤を頼む場合もありますので,その時は,普通の処方箋を渡さなければなりません)。
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