講座
看護婦の医師介助について(下)—〔ガーゼを算える仕事〕
水野 祥太郞
1
1大阪市立大
pp.12-15
発行日 1955年12月15日
Published Date 1955/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909990
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看護婦の問題は日本と世界のほかの国々とくらべて見て,面白い共通のところもあれば,日本独特の変つた問題もあるようです。方面を変えてわが国をイギリス辺とくらべて見ましよう。
看護婦の主な働き場所が病室であることは常識になつていると思いますが,日本の実状はどうでしようか。未だに看護婦は検温器を配つて歩いて,医師の回診の時にアクセサリーとして,横に立つていて,食事の配達をする位のことにおわつているのではないでしようか。専門家のはずの看護婦が病室の患者の状態を詳しく見て,知り分けて,身の廻りの行届いた世話をし,回復を早めるための指導をするなどの本来の看護技術と経験を生かせることを十分にしないために,非専門家である患者家族が無知識無経験ながら,ただ患者に対する肉身の心づかいのみを以て仕えるという原始的看護法よりも低い満足をしか患者に与えられないという事実は,情ない話です。
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