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私の看病
幸田 文子
pp.10-12
発行日 1955年10月15日
Published Date 1955/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909923
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縞木綿にリツプルの涼しげな小巾の帶を結びきりにした無雑作な夏姿の,どこか粋な感じの先生は,編集子のカメラの注文に「ふだんこんなところで原稿書かないのよ」と明るく笑いながら快よくポーズして下さつた。明治の文化として知られる露伴を父とし,その終焉の地,蝸牛庵に住まわれ,戦後,“父”“こんなこと”“みそつかす”など,一連の露伴につながる思い出を随筆風に著し,文壇に清新の気を送つた。嚴しい父に仕えて育つた筆者は,露伴ゆずりのきつかりと洗練された明治風の格調の高い文章で,身近かな題材の中に鋭い感受性のひらめきをみせている。明治37.9.1生。女子学院卒。
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