講座
病院の使命としての疾病予防
曽田 長宗
1
1厚生省医務局
pp.14-17
発行日 1955年5月15日
Published Date 1955/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909825
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病院の設けられた第一の目的が,傷病の苦しみになやむ患者の收容治療にあることは申すまでもありません。診療のため高度の設備や錬達な各科専門医を必要とするような重症患者や,家が手狭で人手も足りず,しかも繋累は多く,ゆつくり充分な手当が出来ないというような人達を,1人でも多く入院させて治療が出来るように,病院の増設や病床の増加を図ることは,今日のわが国においても急務でありますが,現在数多くの患者を前にひかえ,しかもあとからあとからと新しい患者が発生する状況では,仲々充分病床数をそなえるということも簡単には出来ません。
前号でもふれたように,わが国では昨昭和29年1箇年に6万の増床を見,これは世界的にも著しい増加なのですが,1床新設費30万円平均と見れば総計180億円,鉄筋コンクリート造とすれば更に2〜3倍の経費を要します。又そのために必要な医師や看護婦などを揃えるにも,並々ならぬ苦心がいるわけです。
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