講座
最近変つて来た結核の化学療法—その適応範囲の拡大について
北 鍊平
1
1結核研究所臨床
pp.10-13
発行日 1955年5月15日
Published Date 1955/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909824
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
最近の結核治療法の動向をみると,化学療法と肺切除の二つが最も著しい進歩をとげ,この二つが主勢力となつてきている。そうして過去数10年間われわれが唯一の積極的治療法と考えていた気胸や成形術といつたいわゆる肺虚脱療法は化学療法と肺切除との二つの側からの攻略にあつて次第にその生命を失いつゝある。
もちろん,化学療法と肺切除とにはそれぞれに限界があつて,どんな肺結核症もこれだけで完全に治せるというわけではない。一方肺虚脱療法もそれ自体が誤つた治療法であるのではなく,症例によつては非常に有効な治療法である。たゞ何といつても化学療法と肺切除は虚脱療法よりも,もつとすぐれたものであることに疑がない。
Copyright © 1955, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.