巻頭言
新しい時代への期待
鴫谷 亮一
1
1群馬大学医学部内科
pp.3
発行日 1964年1月15日
Published Date 1964/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201278
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最近の呼吸と循環の研究法のめざましい進歩に目をみはる時,敗戦の痛手のわが国の学問に残した深刻さを味わうと共に,近来の若い研究者を祝福し,これに声援を贈りたい衝動にかられる。
呼吸と循環の機能状態のパラメーターとしての諸種の物理的化学的現象を連続的に計測しこれを記録することを近代化した人としてH.Reinの業績に注目したのは戦争の正にはじまろうとした昭和10年台の前半である。分時呼気量,呼気酸素炭酸ガスの濃度,酸素消費量,炭酸ガス発生量等を巧妙な電気的方法によつて連続的に記録して人間の呼吸と循環の動態を次ぎ次ぎと解明していつたReinの論文は,大学を卒業したでの当時の若い研究者をひきつけるものであつた。その有名なThermostromuhrを除けば,Reinの仕事は主として気相に関するものであつた。これに対し同じドイツの生理学者Kramerと内科学者Matthesか今日のオキシメーターを人体の呼吸と循環の連続的研究にはじめて用い,内科臨床の実際に於ても新しい電気的方法が有力な研究法であることを示した。
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