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看護重宝事典—燃科の知識(6)
沼畑 金四郞
1
1東京文化短大
pp.54-57
発行日 1955年2月15日
Published Date 1955/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909755
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薪の燃科としての価値
燃料としては最も古い歴史をもつもので,原始民時代から永く使われている燃料はこの薪である。その理由はどこでもたやすく手に入ることと,非常に扱い易い点にある。即ち
①発火点の低いこと。いわば火つきのよいことである。発火点というのはそのものの燃え始める温度で,薪材の種類や乾燥の度合,その大小にもよるが,
杉材の類は 240℃
檜,トド松 250°〃
エゾ松,赤松 260°〃
セン,桂,材 270°〃
ナラ,クヌギ類 280°〃
木炭の300℃,石炭の400℃,コークスの500℃に較べると遙かに低温で火がつき易い。この中でも精油や樹脂を含むものは燃え易く,又熱量も多い。
②薪火の焔はガスに似てよく鍋底を包み,又あとに残る燠火(おきび)は炭火のように輻射熱に富んで焼物等に役立ち,余熱があつて重宝である。
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