講座
小説の読み方と撰び方
田宮 虎彦
pp.28-31
発行日 1954年8月15日
Published Date 1954/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909616
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小説をよむ時,読者は「小説とは何ぞや」などとは考へはい。小説にもつとも似ている芸術は映画だが,映画をみる時も,観衆は「映画とは何ぞや」などと考へない。
小説をよむ読者は,小説が面白いからよむのである。よんで面白ければ読みつゞけるし,面白くなければ本をおいてしまう。腹をたてゝその本を壁に投げつけるかもしれない。ところで,もしそれが看護学の教科書でもあれば,面白くないからといつて,途中でよみさしにしてしまふわけにはゆかないであらう。
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