特集 ナースに必要な癌の知識
乳癌の診断及び治療
梶谷 鐶
1
1癌研究会附属病院外科
pp.87-93
発行日 1954年4月15日
Published Date 1954/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909554
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
緒言
我国に於ては乳癌のために毎年約1.500名の婦人が死亡しています。これは女子の人口10万人に対し3.3名に当つています。然し欧米では乳癌による死亡者は尚一層多く女子の人口10万人に対し20-30人に達し,我国とは格段の差があります。これには色々の理由がありましよう。殊に欧米では我国に比し,癌の発生し易い老人の人口が比較的多いのでありますが,それを計算に入れても,尚女子人口10万人に対する死亡者は15-20名に及び尚大変な差があります。これは人種の違い或は分娩,授乳その他の色々な風俗習慣の差に基くものと思われますが,その詳細は現今のところ明かではありません。就中分娩,授乳その他の様式は,終戦後の我国では益々欧米のそれに近づいています。従つて我国でも乳癌の発生の増加が漸次起つて来るのではないかと想像されます。又癌の啓蒙運動が盛んになつたためか,乳癌その他乳腺の異常を心配して来院する婦人が2-3年来急激に増加していますので,この際皆様に現今の乳癌の早期診断法及び正しい治療法を一瞥して頂きたいと思います。
Copyright © 1954, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.