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アグネス・ジョーンズの生涯
高橋 功
pp.39-41
発行日 1954年3月15日
Published Date 1954/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909525
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クリミヤ戦役に於けるフローレンス・ナイチンゲールの功績を記念して集められた基金を以てナイチンゲールは1860年にロンドンの聖トーマス病院内に看護婦養成所を始めました。最初15人の見習生がくわしい身元調査を行つた上で採用されました。それまでは看護婦の仕事といえば,病室を掃除したり食事を運んだり,繃帯をまくのはいゝ方で,患者とわるふざけをしたり,ひどいのになると酒を飮んで酔払つたり,淫売をするという風だつたのです。ナイチンゲールはこれを改め,看護婦の仕事は天職であり聖職でなくてはならない,という信念で看護婦の養成にあたりました。そして学課に実習にきびしい勉強が課せられました。ですから従来の看護婦とは全然ちがつた品格の立派な,誠実で勤勉な,技術のすぐれた看護婦ができ上つたのです。世間ではナイチンゲール・ナースと呼んで尊敬するようになりました。
ナイチンゲールが養成した看護婦の中でナイチンゲールが,最良の弟子という折紙とつけたのはアグネス・ジョーンズです。アグネスが死んだ時ナイチンゲールは,かけがえのない損失だと書いているほどですから,拔群のナースだつたにちがいありません。
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