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I.はじめに
軸索流という現象が見出されてすでに30年あまりが経過した1)。この軸索流の30有余年の歴史を見ると,大きく四つの時期に分けることができる。1950年代までの第一期は,実験手段として神経の結紮のみが用いられていた時代であった。それに続く第二期は放射性同位元素が導入された時期で,これによりそれまで神経の再生とは切り離しては行ないえなかった軸索流の研究が,それとは独立して実験できるようになった。第三期は1960年代のなかばから1970年代の前半にかけての時期で,この時期には三つの重要な発見がなされ,それに伴なって飛躍的な発展が見られた時期である。その第一は,それまで認められていた1日数mmの流速を持つ遅い軸索流に加えて,その数100倍の流速を持つ速い軸索内輸送が発見されたことである。この発見は,軸索内輸送がシナプス伝達という時間経過の速い現象と関連づけて考えられるきっかけを作ったといえる。第二の重要な発見は,1968年から1969年にかけて見出されたコルヒチンの阻害作用である。これは軸索内輸送の機構に微小管が重要な役割を果たしているという考えに根拠を与えるとともに,微小管という生物界に普遍的な構造を通して,軸索内輸送の研究がより広い視野から行なわれるようになったことを意味している。第三は,1971年ごろから見出された逆行性輸送の存在である。
Abstract
The effects of colchicine on fast axoplasmic transport and slow axonal flow were reviewed. In addition, the auther's experimental results were also presented as follows.
1) Colchicine (4 μg) injected into the rat L5 dorsal root ganglion 10 min before labelingblocked tubulin transport preferentially, with little effect on neurofilament triplet and actin.
2) Colchicine at this dose had no effect on the biosynthesis of tubulin in the ganglion.
3) The inhibitory effect of colchicine on tubulin transport persisted on at least 2 days after the treatment.
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