学院だより
国立岡山病院附属高等看護学院
中野 輝子
pp.37-40
発行日 1953年9月15日
Published Date 1953/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909407
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「そのかみの,クリミヤの灯を受けつぎて,集いし我等,岡山の沃野のほとり,智を磨き技をねりつゝ,尚高き徳をめざしぬ」と校歌にある樣に,美しいスロープをもつた,京山の麓,萌え出ずる若草にも似て,清純なそして情熱に燃える黒い瞳の乙女達が,スチューデントナースとしての友垣を築いている。
苗代の柔い緑が田園風景に情緒を加える頃学窓の庭は溢れる計りのクローバの繁茂で,晝休みの憩を四つ葉さがしに夢中になつてる一年生達の群は微笑ましい限りである。ポプラが一年々々と太く育くまれて幹も大分しつかりとし可愛いい若葉が微風にゆれ,学院の歴史と伝統が築きあげられて行くと同調して,雨にも風にもゆるがぬ力強さ,たくましさを備えつゝある,池田動物園が近くに誕生し,百獣の王,ライオンの咆哮が靜かに暮れる五月の空に,太く高く響いて消えて行くのも,此処でなければ味わえない興趣である。自然の風物に恵まれた学生達はここで3年間の意義深い年月を盛り沢山の学科スケジユールと,病室実習に信頼と安心感をもち希望の光をもたらすナースの卵としての育くみを受ける。
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