ケース・スタディ
胸廓成形手術患者を取扱つた1例
植木 靜江
1
1新潟遞信病院
pp.39-41
発行日 1953年8月15日
Published Date 1953/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909388
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これは私が以前に勤めていたK市の療養所において,ある患者さんに對して行つた實際の看護と,それに對する感想と反省,又今後の研究といつたような意向にもとづいて殘したささやかな看護記録です。
T・Sさんは胸廓成形手術をうけるために県内のS病院から転所していらつしやつた男の患者さん36歳で,家族歴としては,父母と妻に子供1人でどなたも健在,兄弟はなく,血縁内に同病者はみられず,既往症はまれに風邪程度のもので發病まで極めて健康であられた由,本人も健康には相当の自信があつたようでした。昭和19年12月,中支從軍中に發病,内地送還となり右肺浸潤と診断され陸軍病院に收容,翌20年10月軽快退院。当分は家庭療養を命ぜられたのですが,折からの終戰の混乱の中に激しい生活苦と鬪い一家を守るために直ちに就職,職種は事務系統で,当時とすれば軽度の作業ではあつたものの食糧難からくる栄養不足,精神的過労のために24年7月再発,家庭療養を続けることも困難でその年の11月S病院に入院,その後先生のすゝめで手術を希望,K療養所に転所26年10月入所されました。
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