連載 [連続小説]コロナのない保健所の日記・16【最終回・エピローグ】
サイレント・ナイト(あるいは、来るべき世界)
関 なおみ
Naomi SEKI
pp.753-764
発行日 2024年7月15日
Published Date 2024/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401210345
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二〇一九年二月四日月曜日 曇りのち晴れ 風しんの日
二〇一三年の風しん流行からちょうど五年経った二〇一八年、再び全国的な流行が起きた。前回同様、風しんの予防接種を受けていない成人男性を中心とし、今度は職場や国際的なアーティストのイベント等だけでなく、地下アイドルの握手会とか、ローカルバンドのライブハウスツアー、ネットゲームの集会など、インターネットが社会に浸透するとともに情報が全国規模で拡散してネットワーク化した、サブカルチャー系のイベントがきっかけと思われる感染拡大事例もあった。人の集まる場に感染症あり、である。
国が重い腰を上げ、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会(1)までに日本から風しんを排除(2)することを目的として、本格的に成人男性を対象とした風しん対策(2)を始めたのは、二〇一九年二月のことだった。
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