特集 神経化学懇話会
主題I γ—アミノ酪酸の生化学
指定討論
脳組織でのアミノ酸の分離定量法
(1)ペーパークロマトグラフィーによる定量法
大津 毅
1
1関東逓信病院
pp.517-518
発行日 1960年4月1日
Published Date 1960/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431906366
- 有料閲覧
- 文献概要
脳組織中には30種以上の遊離の状態のアミノ酸が存在することはTallanにより報告されているが,この遊離アミノ酸中比較的多量に存在するものは10数種にすぎず,これらのアミノ酸はペーパークロマトグラフィーの方法により分離検出可能であちる。しかし二次元展開法に長つて20種程度のアミノ酸の分離は可能であるが,脳中の全遊離アミノ酸の分離はカルムケロマトグラフイーの方法ににらなければならない。ペーパークロマトグラフィーの方法は特別の装置を必要とせず,簡単に且特に微量のアミノ酸の分離,定量の出来る点ですぐれている。脳中の遊離アミノ酸の定量法としては動物より脳の摘出法(例えば麻酔の影響),遊離アミノ酸の抽出法,特にペーパークロマトグラフィーの試料としての除蛋白法,ニンヒドリン共他の呈色定量法(例えば濃度計による方法,一段呈色法,二段呈色法等)など多くの問題があるが,次の方法により比較的良好な結果が得られたので一方法として報告する。
実験はラットを用いたのでこれについて説明する。ラットの頸部をコッヘルで固定,直ちに脳を摘出約30秒,(全脳の重量は約1.5g),ドライアイスで凍結する。これを70%エタノール2mlとPotter-Elvehjem homogeneizerでhomogenateとしこれを小試験管に移し,homogeneizerを2mlの70%エタノールで洗滌し小試験管に加える。
Copyright © 1960, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.