中検へ一言・中検から一言
心療内科からの要望,他
石川 中
1
1東大分院・心療内科
pp.1412-1413
発行日 1975年12月15日
Published Date 1975/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909205
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心療内科にとって,中検の検査結果がもつ意義は2つある.まず第1は,除外診断である.すなわち,結核とか癌とか動脈硬化のような,明らかな身体的原因をもった身体疾患は,心身症から除外する必要がある.この除外診断は心身症の診断に当たって重要な意義を有し,明らかな身体的原因のある器質的な身体疾患を心身症と考えて,心身医学的な治療を加えることは無益であるばかりか,ときとしては,病気を進行させて危険ですらある.第2にあげられるべき意義は,心身症の中で,身体面における機能異常のあるタイプのものの場合である.例えばストレスによって発症した胃潰瘍とか,抑うつ状態にある高血圧などである.このような症例の場合は,中検による検査結果自体が病状の経過を示すことになるのである.以上の2つの面から,心療内科にとって,中検において行われる諸検査の意義は大きいが,ここに,特に心療内科の立場から,2〜3の要望を述べてみたい.第1には,心療内科の患者は一般に,検査に対して不安や恐怖を示しやすい.したがって,基礎代謝測定とか,心電図検査とか,脳波検査とか,内視鏡などのように,患者が直接,中検におもむいて検査を受ける場合には,患者の性格や精神状態なども十分考慮して扱ってもらいたいということである,医学的検査の患者心理面に対する影響は,患者に不安や恐怖を与えるという,精神面の問題ばかりでなく,それが間接的に検査結果にも影響し,医学的診断を誤らすことがある.
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