発行日 1951年10月15日
Published Date 1951/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906940
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はしがき
子供の入院患者の取扱いは,成人の場合に比較すれば非常にむずかしい。殊に我國の經濟事情では物も足らない,人手も不充分,設備も惡かろうが,子供は人間の何分の一を占めるだけに,又子供は都民の賓として守らねばならないことも當然である。吾々にも子供の入院患者は苦手であつたが,この頃ようやくその取扱い方にも少しづつ慣れて來て,やつとその緒につき出した次第である。病院であるからには,その目的は患者の診察であることは云う迄もないが,病兒を預ることの「こつ」は只サービスと云うこと一つであると思う。
一般にサービスということについて世間では誤り考えられこいるように思われる。サービスと云えば恰も何か「おまけ」でゞもあるような意味に解釋されているらしいが,私はそうは思わない。20幾年前のこと,外國の本屋の型録を手にして,その表紙にブックサービスと大きく印刷してあるのを見て,「これなるかな」と感じたことがある。病院のサービスもやはりこれであろう。保健所に奉仕課と稱するセクションがあるのがわかつたような氣がする。少くとも病院のサービスは「患者への奉仕」であり當然の義務であり,且つこれが醫療を助けるファクターになる。萬一にも營業政策視するような見方をしてはいけない。やはりサービスは「おまけ」ではない。病院の一つの使命であり且つ病院通用上缺くべからざる條件の一つでもある。子供の患者には殊更にサービスが必要であり,そうでなければ子供は預れたい。
Copyright © 1951, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.