発行日 1949年12月15日
Published Date 1949/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906569
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寒くなつて來ると,子供の肺炎が多くなつてきます。お母さんの中には子供が氣管支炎といわれるのと,肺炎といわれるのとでは,大變なちがいがあるように思う人がかなりあります。氣管支がだんだん細くわかれて行くと,先の方は肺胞になつているから,肺炎は氣管支炎よりもその病變が少し深くにおこつたにすぎないのです。しかし,これらのちがいはただ位置の關係だけではありません。肺胞は私共が生きて行く上に最も大切な呼吸の内の,外呼吸をする最重要な所であります。肺炎はここに炎症がおこるのですから,體内の各細胞のエネルギーである酸素の供給が少くなるので,氣管支加答兒よりもからだにとつて數倍の影響がおこります。お母さんがあわてるのも無理ではありません。
さて,この肺炎には2つの種類があります。御承知のように肺は左右兩側にあつて,右肺は上・中・下葉に分かれていますし,左肺は上葉と下葉に分かれています。この1葉に限つて炎症がおこるのを大葉性肺炎又はクループ性肺炎といいます。このクループ性肺炎は乳兒期に少く,年齡が増すと同時に多くなり,1つの肺葉に限らず氣管支加答兒から進んで,肺の全體におこるのは氣管支炎又は小葉性肺炎といいます。小兒科にはこの形のものが多いのです。肺胞と同時に氣管支にも炎症がおこります。
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