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入院患者と慰安
遠藤 保喜
1
1国立箱根療養所庶務課
pp.31-34
発行日 1953年6月1日
Published Date 1953/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200660
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1.病院の目的と患者の立場
病院の目的は言う迄もなく,傷病者が科学的で且適正な医療を受けることができることに在るのであつて,何れの病院も日夜その目的に向つて全力を尽しているのであるが,治療の対象となる患者は,性格,教養,社会的地位,職業,生活状態等種々その内容程度を異にして居り,之を単に(患者)なる名称によつて表示され抽象化され,た。同一性質の人間として抱括的に取扱うことは大いに困難と不合理が伴うことは明かなことであろう。
従つて病院の目的に合致するよう,迅速且効果的な治療を施そうとするには,自ら病院の目的に,患者の心裡を同化せしめなければならない。然も患者は何れもその治療を病院側へ一任しているのであつて,患者自らも治癒の日も速かならんことを希つていることは勿論である。
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