看護學講座
基礎看護法
白井 怜子
pp.48-52
発行日 1948年7月15日
Published Date 1948/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906355
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患者の精神的慰安
患者は肉體的の苦痛,不快があるばかりでなく,精神的にも苦悶不快がある。病中は健康時よりも一般に敏感になつてゐるから一層苦勞が多い。或る患者は看護婦とそうした問題を相談するが或る患者は自分だけで祕めてゐるので,看護婦の方で患者の樣子をみたり,或は關接な事柄から患者の苦勞の原因が何であるかを發見しなければならない。併しボンヤリと想像するだけで明瞭に判らない事もある。
苦勞の種となるものは経濟問題や對人關係のこともあるが,もつと根強い精神的の問題もあり,時には宗教問題である事もある。人との關係では家族,友人,親類,醫師,看護婦との間の關係が往々問題となる。患者が悲觀したり,淋しかつたり,憂鬱になつたりすることはよくあるが,之にはその性格が大いに問題になる。神經質な患者は一般に感情の動搖が大きくて病的な表現をする。
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